色落ちのキモ

# 日記

ジーンズの色落ち。

ヴィンテージジーンズやレプリカジーンズがなぜ人を惹きつけてやまない色落ちをするのかご存知ですか?

もちろんジーンズ好きな人にとっては釈迦に説法ですが、ご存知ない人のために話したいと思います。

 

そもそもジーンズの色落ちは生地の質によって決まります。

これだけだと何?って感じですが、ジーンズの生地は様々な織機で織られているんです。

ではヴィンテージのジーンズはなんで人気があるんでしょう?

 

それは色落ち。そこが醍醐味!

ということは

古い時代に織られたジーンズ生地の方が魅力的な色落ちをするということです。

言い換えれば古い時代の織機の方が風合いのある生地を生み出すんです。

その織機こそ

「シャトル織機」

 

さてどんな織機なんでしょう?

シャトル織機は、現代織機のおよそ半分しかない29インチの幅でしか生地を織れず、1日フル稼働させても50m織るのが限度。スピードも現代織機の約6分の1という抵速度でしか織ることができない極めて非生産的な織機。

特徴として、タテ糸を強く張らずに織ることが可能で、ゆっくりと時間を掛けて織る分、ヨコ糸の打ち込みが強くなり、結果として凹凸感のあるゴワっとした厚い生地感に。

このゴワっとしたザラつきこそヴィンテージのような生地感を生み出す大きな理由となっていたんです。

そしてこの生地感こそが美しいたて落ちを生み出す最大のポイント。

しかし、このシャトル織機は前述の通り生産性に欠けていたため、生産性に長け安定した品質を保つことができる現代織機が登場によって消えざるを得ない運命を辿ります。

そのため今日では、シャトル織機はほとんどが残っていない希少なものに。

その織機を大事にメンテナンスしながら使い続けていたのが

今ではジーンズの生地とも呼ばれている

岡山

だったんです。

昔から綿織り物の盛んだった児島と井原には

そのシャトル織機が残っていて今も稼働しています。

古い機械のため、壊れやすいという大きな問題はありますが、この地の職人たちは

まるで織機と会話を交わしているかのように行う繊細な調整やメンテナンスを日々の欠かせない仕事として今もシャトル織機を大事に扱っています。

当然壊れても、交換できる新しい部品はなく、古い織機のパーツを再利用。

それすら入手できない場合は図面を引き、鉄工所に発注して補修する。

唯一無二の風合い、色落ちは、この職人たちの努力とそれに守れているシャトル織機でしか再現できないのです。

最後に現代織機には存在しない生地の端に付くセルビッジ。

この通称「赤耳」は、シャトル織機で織られた何よりの証しでもあることもディテールを楽しむ上での重要なポイント。

このように、自動化された現代織機の何倍も生産性に劣り、手間を要してでも、熟練の職人のみが持っている経験や勘を頼りにすることで、初めて稼働するシャトル織機で生み出すデニム生地にこそ価値を見出し商品として生み出すブランドが日本にはいくつもあるということです。

今では数少なくなったシャトル織機で作られたジーンズは

たて落ち

と呼ばれる絶妙な色落ちを生み出し、

ジーンズを育てる喜び

を生み出してくれる逸品になるのです!

そしてそれをDenim Celar.から提供できる喜びを僕も感じているところです。