第5回 物資不足から生まれた第二次大戦モデル

# デニムって何?

今回はLevi’sの501についての第3弾となります。

ジーンズ「リーバイス501XX」は現在まで、そのデザインや生地などのディティールは何度もリニューアルされ続けていることは前回も申しました。その中でもこの第二次大戦時期は特異な変化を遂げた時期となります。

だからこそファンの間では、この時期のディテールに興味がある方も多いのではないでしょうか?

今回は、その第二次世界大戦中と戦後期に作られたモデルを紹介していきます。

第二次世界対戦中の物資不足による影響
(1942年頃に誕生:俗に言うWWⅡ(大戦)モデル・S501XX)

第二次世界大戦勃発により世界中が慢性的な物資不足に陥った時代。

もちろんアメリカもその例外ではなく、物資不足の波はジーンズにも波及。
リーバイス社がアメリカ合衆国の政府から要請されたのは、金属や糸、布地といったジーンズに欠かせない素材を一定量簡素化すること。

その要請に応えるため、501のディティールを簡素にする仕様変更が始まりました。

主に「耐久性」と「機能性」を進化させていた501のその「機能性」部分をを削除する仕様変更となることに。
具体的にはシンチバック、ウォッチポケットのリベットの削除、ロゴボタンやリベットをより安価なものへ変更、表からは見えないポケットの裏地の布には、様々な種類の余り布が充てられました。

中でももっともインパクトの大きかった変更は、ヒップポケットのアーキュエイトステッチ(M字の補強糸)が、ペンキによるプリントに変更された点。今ではこのディテールこそ、大戦モデルの代表的な特徴として認識されている方も多いはず。なのでこのモデルは別名「ペンキステッチモデル」とも呼ばれています。

この時期のモデル特徴として、その時々で削除されたディテールが異なるモデルが混在しているということ。理由として、物資不足のないようにより、一定の仕様に固定することはできなかったということのようです。この混在した時期のモデル名の頭にはSimplified(簡素化)を意味する「S」がつけられ、「S501XX」とパッチに刻印されています。

しかし、上記のような簡素化要求の中でも、唯一妥協しなかった部分がありました。

それが「耐久性」

具体的にはデニムの重量です。

当時、重量(オンス)の引き下げを政府より指示されましたが、ワークウェアである以上「耐久性」の低下だけは絶対に妥協せず、当時のリーバイス社のニューヨーク所長がワシントンまで陳情に行ったという事実も残っています。その結果、逆に生地の重量は12.5オンスから13.5オンスまで上がったという逸話が今も語り継がれています。

それにしても当時のアメリカ政府は粋なことをしますね。「耐久性重視」の思いを汲み取り、むしろオンスだけは「上げてもいい」なんて。

戦後のハイクオリティモデルの誕生
(1947年頃〜:俗に言う1947年モデルいまに続くモデルの礎)

第二次世界大戦が終わり、政府からディティールの簡素化の指示が解除されるのを待って、

リーバイス社は、戦前よりもさらにの高品質な501XXを生産し始めます。
それまで削除されていたアーキュエイトステッチやウォッチポケットのリベット、ロゴボタンなどの復活だけではなく、それぞれの金属や糸の素材も、戦前よりもより耐久性のあるものに見直されました。

また、シンチバックは、ベルトでパンツを腰に固定するがメジャーとなり廃止。現在まで続くリーバイス501XXのベースが誕生することになりました。現在流通しているレプリカジーンズは、この時代の501XXがベースとなり作られていること多くなっています。