第4回 Levi’s501の誕生とその変遷

# デニムって何?

皆さんもご存知の傑作「リーバイス501XX」。
最初の発売から現在に至るまで、そのデザイン、生地といったディティールは何度もリニューアルされているものの、現在も生産され続けています。なぜここまで愛されているのか。

ディテールの変遷を見ても納得のことだらけ。少しづつ紐解いて見たいと思います。
今日は501XXの誕生モデルから、他社ブランドが台頭する1930年代までの変遷です。

 

ファースト501XX(4ポケットパンツ)
(1890年頃に誕生:俗に1890年モデル)

最初のリーバイス501XXは「1890年モデル」などと呼ばれており、501の原点。別名「4ポケットパンツ」の名の通り、特徴はバックポケットが一つしかないこと。1890年代から1900年頃までに生産されていたもので、ヒップポケットが右に1つ、フロントポケット2つ、ウォッチポケットが1つあるモデルです。
4ポケットパンツは労働着として使用されていたことからシルエットは太めで動きやすく、サスペンダーをひっかけるためのボタンがバックに2つ付属。シンチバック(ジーンズのフィット感を調節するためのもので日本語で尾錠)やリベットが打ち込まれ、動きやすさと耐久性を重視した作りが特徴と言えましょう。パッチも革製で、1890年代以前の布製パッチでないところにも、原点の気概が感じられますね。

5ポケットパンツへ変化
(1902年誕生:俗に1902年モデル、1922年誕生:1922年モデル)

それまでの4ポケットパンツに左ヒップポケットが追加され、5ポケットパンツへと進化したのは、リーバイス社の倉庫から見つかった1902年のカタログに載っていたのが最も古いとされていることから、5ポケットへの変化がおきたのは1902年だと言われています。それまでジーンズに求められるのは耐久性でしたが、この頃を境にデザイン性や機能性を盛り込んだ変化を遂げていきます。これをマニアの間では「1902年モデル」と呼びます。
今ではおなじみのベルトループがつけられたのが1922年。マニアの間では「1922年モデル」と呼ばれ、質実剛健だった初期モデルの「耐久性」からデザイン性が加味されていく「機能性」への大きな進化の過程を感じられるモデルとして認識されています。

他社ジーンズブランド参入から生まれた特徴的なディテール

1930年赤タブ誕生

1890年にリーバイス社の取得したリベットの特許期限が切れて以降、他社のブランドがリーバイス社と似た、ブルーデニム生地、リベット、パッチ、アーキュエットステッチといったディテールを模倣したジーンズをを販売するようになりました。1930年代に入ってもその状況は変わらず、リーバイス社にとっては、これが悩みの種。
他社との明確な区別を考えてつけられたのが「赤タブ」。いまではお馴染みのヒップポケットの左サイドに縫い付けられているあの「赤いやつ」です。
他社ブランドのジーンズとひと目で区別してもらえるようになった「赤タブ」は、デニム生地との相性もよく、商標登録もされました。今ではLevi’sのアイコンといっても過言ではほど認知度の高いディテールではないでしょうか。